お題今日も最高の一日が始まる、お師さんが隣に居てくれる、それだけで俺は生きていける
「おはようお師さん、今日もお寝坊やね」
カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる、庭では小鳥がぴちぴち会話をしている、静かな寝室で二人寄り添って朝を迎えた
ベッドに横たわったままのお師さんにキスを落として優しく抱き起す、いつも俺のほうが早起きなんよ
いまだ目覚めず自立できないお師さんの背中にいくつかクッションを置いて、朝食の準備をするためにベッドから抜け出す。
カーテンを開けると部屋中に新鮮な日の光が差し込んでくる。
整頓されたキッチンにはお師さんのお気に入りのベーカリーで買ったクロワッサンが沢山ある、最近食べてくれへんけど飽きたんかな?
クロワッサンをオーブンに入れて温める間にフライパンで卵とソーセージを炒め、木製のボウルに洗ったサラダを放り込む。
「お師さん今日は食べてくれるとええんやけど」
ベッドトレイを使おうか迷って、結局食卓にお師さんを連れてくることにした。起こすのはちょっと可哀想やけど。
「お師さん俺に掴まって?このままテーブルまでいくで」
眠り続けるお師さんを背負い食卓まで連れていく、幸せの重みやな!
椅子にお師さんを座らせ、テーブルに朝食を並べる。
「お師さん先に食べてて、俺紅茶入れてくるわ」
フランスでお師さんが買ってきた紅茶も残り少なくなってきた、何とかして手に入れればお師さんもフランスに行かないでくれるかな
お師さんに夢をかなえてほしいのも本心やけど、この幸せな時間が終わることなんて考えられへん
紅茶をカップに注ぎお師さんと俺の分をそれぞれトレーの横に置く
「…お師さん今日も食欲ない?何なら食べたい?俺何でも用意するで」
返事はない、まだ寝ぼけてるんかな、なら食欲がなくても仕方ない。
ぼんやりと目を開けて座っているお師さんもかわええな、ほんまに俺にはこの人しかおらん
「お師さんが食べないなら俺が食べてまうよ?ほら、あーんして」
堅く閉じたお師さんの口を優しく開かせてちぎったクロワッサンを食べさせる
咀嚼をしてくれない、どうして、わかってる、だって
ほんとうはおれだってわかってる。こんなのおわりにしなきゃいけないって。でもおしさんからはなれたくないんよ。
どうしたらいいん、おしさん、おれにおしえてください。
斎宮宗の死体を前に俺は泣きながら蹲ることしかできなかった。