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    pluto__iv

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    kmt 夢腐 夢友くん×むざさまの作品置き場💠🌸

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    夢腐 無惨様の生前語りと、これからへの転換のはなし。
    生前の無惨様は心身共に想像を絶する苦しみ方してたろうなぁという想像と、受動的(死からの逃避)ではなく能動的(人生を楽しむ等)に生きてくように思考切り替えたいねって趣旨。『第四の男』のアネットと『デミアン』のエヴァ夫人由来の要素が多いです。
    無惨様が隣に琥鴞くんいるのに即自分探索に瞑想するの、安心と信頼の現れだと思うのですよ☺️

    ##小説

    病苦 生前の様子を訪ねたのがいけなかった。語る無惨の口調は激しさを増して行き、次第に震えも混じってきた。
    「苦痛が絶えることはなかった。家の者も皆私を疎んじていた。何をしようにも臓腑が、骨が、肉が軋んで邪魔をした。不味い薬や無味の粥を流し込まれては吐き、そうでない時は終わりのない肉体の拷問に独り苛まれ、忍び寄る死の足音に怯える生活。全ては布団の上で完結し、なんの慰めもなく、周りを行き交うは健康な馬鹿者ども! あんな愚者が丈夫な身体を持ったところで何になる? しかも皆、私を憐れみ! 見下し! 私は常に我慢ならなかった! 皆嘲笑っていたのだ、病床に監禁された私を、無力な私を!」
    無惨は普段の様子からは想像もつかない取り乱しようで吼えた。
    「二度とあの惨めな暮らしに戻るものか。私は死を、苦痛を永遠に退ける。必ず、だ」
    無惨の背中をさすりながら琥鴞こきょうは呟く。
    「君、死なないために生きているのかい」
    怒りに震えた荒い呼吸が突然止まった。
    「でもそれは良くないことだ」
    炎の爆ぜる瞳が琥鴞こきょうを睨め付ける。
    「このまま死をいくら遠ざけても、たとえ不死の肉体を手に入れたとしても、君が満たされることも安心することもない。君の望みは叶わない」
    無惨は琥鴞こきょうの袍に掴みかかる。
    「ならばどうしろと。望みとは何のことだ」
    焦りと怒りで顰められた顔は泣きそうにも見えた。そんな無惨を琥鴞こきょうは曇った瞳で見つめる。
    「それを僕に聞いてはいけない。君は僕の理想になるのではだめだ」
    困惑が燃える瞳から熱を徐々に奪っていった。
    「君は君の理想を、君の答えを歩んで」
    衣を掴んでいた無惨の手から力が抜けていく。
    「お前はそういう奴だったな」
    無惨は表情のない顔で呟いた。
    「……信頼している」
    その脆い薄膜のような頼りない無惨の姿に、琥鴞こきょうは胸が締め付けられた。心なしか平常より華奢に見える肩をしっかり抱いて、低い声で落ち着かせるように囁いた。
    「君が必要とするときは側にいよう。僕には君自身を知る手伝いができるだろう。必ずや……」
    無惨は微かに頷くのみで、考え事に没入しているようだった。瞑想する無惨の肩をゆっくりさすりながら、琥鴞こきょうはいつまでも見守っていた。
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