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    u_te

    @u_te
    絵と文字(うたぷのみ、の予定)

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    今日は予定があるので早めにあげ。
    文は構成悩んでるので本に入れるかどうかわからない部分だけど冒頭のところです。
    (ポイピクくんテキスト投稿できるようになったんだなぁ……)

    梅雨の頃だ。瑛二は小学校に上がりたてで、俺は中学を進級して2ヶ月ほど経った。俺は10歳を超えた辺りから芸能活動を始めており、仕事にレッスンにと授業を休むことも多かったため、進級してクラス替えがあったものの、自分のクラスだという実感はなかった。登校してもクラスメイトは遠巻きに見るばかりで近寄っては来ない。特にそれを悲しいとか寂しいと感じたことはない。ここは、俺の場所ではないと知っていたからだ。
    学校にいるくらいなら早く帰りたい。瑛二は一年生だ。まだ午後の授業はないから、帰れば笑顔で迎えてくれる。今日はレッスンもないから、瑛二の歌を聞いて、学校でのできごとを聞いて……。

    「おにいちゃん! おかえりなさい!」
    「ただいま」
    瑛二は小学校に上がって、「にぃに」から「お兄ちゃん」と呼ぶようになった。別に「にぃに」でも構わないぞ、と言うと恥ずかしそうにやだ、赤ちゃんみたいだもん、なんて頬をふくらませるから可愛らしい。
    玄関の錠を開け、中に入ると、小さな足で駆け寄ってくる。靴を脱ぐよりも先に、その愛しい存在を抱きとめるため、しゃがんで手を広げる。ポスッと軽い音がして、胸に飛び込んできた。少しのミルクのような甘い香りと、油の匂い。
    「お絵かきしていたのか?」
    「なんで分かったの? おにいちゃん、魔法使い?」
    抱きとめた瑛二を抱え、足だけで靴を脱ぎ、玄関を上がる。行儀がいいとは言えないが、この愛しい存在を手放すより余程いい。
    「瑛二のことなら何でもわかるぞ。瑛二のお兄ちゃんだからな」
    そう言うと、えへへと首に巻き付いた腕に力が込められる。早く、瑛二の描いた絵を見せてくれ、とリビングに向かった。
    慌てて出てきたのだろう、リビングに続く通路のドアは全て開け放たれていて、一つ一つ閉じながら進む。それだけ、俺の帰りを待ちわびてくれていたことに胸が熱くなる。それでも、ドアはちゃんと閉めような? と言うと、はーい! と良い返事がある。ドアを閉めることを促しつつも、俺が帰ったらドアを開け放って欲しいと思っているのに。この作業は、現実から、俺の居場所へ戻るための儀式のようにも感じていた。
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