07/07ヌヴィリオワンライ「願い」【百年の祈り】
「リオセスリ殿」
時折、人生のほとんどを監獄で暮らし、物語の類も好まない俺は、想像力が足りていないのだと、思い知らされることがある。
「この後の予定を聞いても?」
「この後? 下に戻って書類をさばくつもりだったが、特に予定らしい予定はないな」
「ならば、少し付き合ってくれないだろうか」
たとえば――変わらない、と思っていた人が変化の兆しをみせるには、劇的なきっかけが必須ではないこと、とか。
「……ヌヴィレットさん」
これも俺の想像力の欠如、迂闊さが招いたことと言えばそこまでなのだが。
「何かね」
「念のため確認するが……ここは、」
「稲妻の本島、稲妻城の城下町だ」
――いや、やっぱりここまでしれっと涼しい顔で返されるなら、一言くらい文句は言っても良い気がする。
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