瞳と琥珀糖 二月某日からひと月後の晩、山姥切国広は贈り物の包みを携え大倶利伽羅の部屋を訪れていた。あの時の返礼の品は早くから決めていた。
『琥珀糖』
以前、主から貰った時にまるで宝石のようなこれが菓子だと知って驚いた記憶。
作り方は入手したが、一人では流石に難しい。まして他ならぬ大切な相手に贈るものだから失敗だけはしたくないと、高級茶葉を手土産に歌仙に協力を依頼する。
「君がここまでするなんて余程のことなんだねぇ」
思いがけない相手に少々面食らいながらも
「まあ僕を頼りにしたのは正解だと思うよ」
とまんざらでもない様子。
正直頼みやすさなら燭台切だ。しかし信用しているので筒抜けはないと思うが、何となく伽羅の身内なのでいたたまれないというか。それで今回はノータッチでいてもらう事に。
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