ほーんてっど蘆屋今夏の微少特異点修復。紆余曲折ありながらもせっかくだから(?)と数々の施設を堪能しその中のひとつホーンテッド鬼屋に1人でお化け屋敷を探索することになった藤丸立香。
「う~、やだなぁ。怖いの本当は苦手なのに…」
恐怖を紛らわすためかついつい独り言が多くなる。
赤く彩られた薄暗い照明のある廊下を渋々と1人で歩み進んでいく。
「…ッ!!」
廊下の先に人の気配があった。そこには見覚えのある女性の後ろ姿。腰まで伸びた薄い鈍色の髪。女性がゆっくりと此方に振り返る。
「藤丸…?」
「オルガマリー所長…!?」
気が付けば所長の後ろにカルデアスが現れる。所長の身体が浮き上がりカルデアスの方向へ吸い込まれるように遠ざかって行く。
「やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない!生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのに―――!」
1999