夜空の星から降る「アルバイトをやろうと思うんですけど」
長期休みに入ろうという浮足だった文月の中頃、冷たいお茶で喉を潤すモブが思い出したように話し始めた。
「やってるだろ?」
ここで、と意味でデスクを人差し指で叩くと、ここじゃなくて、と首を横に振る。まあ確かに、誕生日が早いからもう一般的なアルバイトはできる年齢だ。
「学校の友だちに、夏休みにやらないかって誘われてて」
「なんのバイトだ? 言っとくが、ライフセーバーはやめとけよ」
「泳ぐの自信ないし、やりませんよ。お祭りの出店の手伝いです」
学校の友だちというのは、こちらも顔ぶれを知っている中学校のメンツではなく、春に入学した高校の友だちのことだ。何度か名前だけ聞いたことのある一人が自営の家で、夏祭りに出店で参加するので誘われたという。
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