三日月と金髪「月、出てるかな」
夕食をとった後、思い出したようにそう言って五条はベランダに面した掃き出し窓のカーテンを開いた。
「あ、出てる、出てる」
言った後、あれ? 五条は動きを止めた。
「どうしました?」
声をかけると、
う~ん…
「昨日さ、三日月と金星が並んでて、綺麗だったんだよ」
七海は立ち上がって恋人の横に並んだ。見上げた空には月が、そしてわりあい離れた位置に金星を、確認することができた。
「…並んではいませんね」
「昨日は並んでたのになぁ。本当にこう…寄り添うみたいにすぐ横に」
「時間によるのかもしれませんね」
「確かに。もうちょい遅い時間だったかも。昨日」
部屋の時計をちらりと見て、五条は言った。
七海、キスしようぜ、五条が言う。
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