パニグレ : 指揮官と技官の暇じゃない暇を潰す実験の話身体接触がもたらす精神の安定化作用についての話題が構造体たちの間ににわかに広まっている。
という話が空中庭園技官たちの休憩時間の話題のひとつとして持ち上がった。
確かに生物間のいわゆるグルーミング行為にはリラックスを促すホルモン分泌を発生させるなどありそれは一般常識なのだが、いかに人体に似せて作られてあるとはいえ完全に同じ器官と成分を持つわけではない構造体に、それが果たして当てはまるのか?効果が働くとするならそれはどのように?という点の話が激務に煮詰まった技術オタクたちに大いに受けた。
「話はわかった。それでなぜ私が?」
グレイレイヴン隊指揮官は自分を呼び出した技官の長アシモフの、淀みきった目の下の隈の濃さをレベル5だなと判定しながら当然の疑問を投げ掛けた。ちなみにレベル1が極低濃度汚染区域に相当する。
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