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    mism

    @mu11sim

    主に創作CP(🐳🐯)のらくがきを投げる場所

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    🐳🐯の短い文その2 雰囲気です 色々ゆるしてほしい……。
    うちゅ~じんず4コマ「ほうそうじこ」のミラ視点、「気になる一言」前の話です。

    銀河の底のスモークブルー★せつめい
    ※4コマ未読の方向けあらすじ+キャラ紹介

    ・ミラ🐳:にこにこしているが何かしらの思惑を抱えてそうな宇宙飛行物管理局員。
    ・ダーちゃん🐯:食いしん坊はらぺこツンデレトラチャン。行き倒れていたところをふぇべりんに拾われた。
    ・ふぇべりん💫:愉快な仲間たちとのんきにUFOで旅をしながらラジオをしたり気ままにろまんを求めたりしているうちゅ~じん。料理が得意。

    (補足:ミラとダーちゃんは元同僚。
    ダーちゃんは時々ふぇべりん号にごはんをかつあげしにやってきて、ミラはそれを知ってこっそりふぇべりん号に接触してタイミングを伺っているところ)


    ☆銀河の底のスモークブルー

    『はろ~うちゅ~!ふぇべりん☆らじおだよ~!』

     陽気な音楽と共に明るいパーソナリティーの声が聞こえてくる。この前通信で会話したあの元気のいい宇宙人、ふぇべりんの声だ。あの時はラジオの存在など全く知らない振りをしたが、あの船―ふぇべりん号については事前に念入りに調査をしていたため、本当はこのラジオは何十回目かの視聴だ。このラジオの直近のアーカイブだけでなくふぇべりんがラジオ後に投稿している動画や写真まですべてチェックしているし、ラジオの主な内容、構成、さらにはふぇべりんの趣味や口癖までとっくに頭に入っている。ふぇべりん☆らじおはまずは挨拶から始まり、そして宇宙のニュースや日々の出来事の話を少し。コーナーの順番や長さは気まぐれでとても自由ではあるものの、ほとんどの場合その後にメインである料理のコーナーが始まる。

    『さてさて!今日もふぇべりん☆くっきんぐやっていくよ~!』

     ふぇべりんの料理は謎の材料や理解不能な工程も多いが、料理というものをほとんどした事がない俺から見てもかなり手際が良く、見た目のクオリティーも高い。何かしらのハプニングが起こる事も多いが、それを上手くリカバリーしているところも見所だと思う。今回も普段通りに楽しい料理の時間が始まる、はずだった。

    『今回はなんと!幻の食材!ピョンムルモを使った料理を作るよ!!』

     聞いたことがない名前の生物だ。この幻の宇宙生物ピョンムルモを一体どのように捕まえたか、というふぇべりんの浮かれた調子のトークを聴きながら、管理局のデータベースを検索してみようと起動した、その時だった。

    『フェーベ!ごはん!』
    「!」

     どくん、と胸が高鳴った。ダーちゃん。ダーちゃんだ。紛れもなく、俺が探し求めている、かつてはいつも隣で聞いていたあのダーちゃんの声だ。

    「ダーちゃ、ん」

     ダーちゃんが何度もふぇべりんの船に来ていることはずっとダーちゃんの位置情報から知っていたし、ラジオにも不思議なトラを連れている子の話は数回出ていた。だからこそ、俺はあの船に接触し、調査を続けていた……のだが。久しぶりにダーちゃん本人の声を聴くと、形容しがたい感情で胸がいっぱいになり苦しくなった。どうして。ダーちゃんが。どうして、こんなところに、いや、今はラジオを聞かなければ。ラジオがしっかり録音中になっているのを確認し、ダーちゃんの声を一音たりとも逃すまいと再びラジオに集中した。そこからはあっという間だった。

    『ダーちゃん!ちょっと待っ…』
    『(何かに飛びつく物音)』
    『ッ!?!?すばや…』
    『(咀嚼音)』
    『ふぇ…ふぇべりんくっきんぐの大事な食材が~~!!』

     …どうやら状況から察するに、ダーちゃんがふぇべりん号に現れるや否やピョンムルモを食べてしまったようだ。いかにもダーちゃんらしい。咀嚼音と共にふぇべりんのかなしみに満ちた声が聞こえる。

    『もぐ…ぷは、うまかった!!……ん?』
    『まっ…アァ~ダーちゃん~~……!!そんなあ……ピョンムルモッ……!!』

     ……ドタバタの結果、ダーちゃんは彗星のごとく去って行き、ふぇべりんくっきんぐは予定を大幅変更し別のメニューが作られ、ふぇべりんは最初こそ凹んでいたが持ち直し最後はいつも通りに明るいまま幕を閉じた。このラジオではこういったハプニング自体は珍しくない。だが、ダーちゃん本人がついにラジオに現れたことは俺にとっては大問題だった。ダーちゃんがあの船に来ていることはわかっていたはずなのに。あいつとはあんなに仲良くしてるのか。あれから俺はダーちゃんとまともに話もできていないのに。どうして、俺じゃいけなくて。なぜ。ダーちゃんは。俺の隣にいないのか。

     思考がぐるぐると果てしない底の底まで落ちていきそうになった時、手元の制御パネルがミシリ、と軋む音が聞こえハッとした。落ち着け、そうだ、これはきっと俺がずっと待ち望んでいた好機だ。どろりとした感情とはやる思いをぐっと堪えた。深く息を吐く。冷静に、もうしばらく待って十分自然に、最適なタイミングを見計らってから行動に移そう。ふぇべりんはきっと話を聞いてくれるだろうし、ダーちゃんも油断しているだろうから、大丈夫なはずだ。
     もう一度ダーちゃんの位置情報を確認すると、すでにふぇべりんの船からは遠く離れていた。焦ってはいけない。もうすぐダーちゃんにまた会える。一呼吸置くために、ダーちゃんが好きだったミルキーコーヒーをマグカップに注いで一口飲んだ。いつも通り、俺には味はしなかった。

    (おわり)
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