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    kayou_sousaku

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    kayou_sousaku

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    なんともいえないオチ。スッキリしない。

    🌠視点のカヨ月
    (カヨ月大学生時空)


    お兄ちゃんが一人暮らしを始めてから3ヶ月…。私もそろそろ高校生活に慣れてきた。
    久しぶりにお兄ちゃんに会いたくなったから連絡を入れて、聞いた住所の部屋のまで来たんだけど………

    「あの…悪魔さんですよね…」
    「え、あ……多分…?いや、合ってる」

    お兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんの彼氏…と思しき人がいた。ああ、お兄ちゃん、もう同棲なんてしてるのね…。

    ふと悪魔さんの顔をみたら真っ青だった。焦ってるのかなぁ?別にお兄ちゃんとの関係を咎めるわけでもないし、お兄ちゃんから直接聞いたわけでもないけどなんとなく察してるから隠さなくてもいいのに…。でも…。
    ふふ、なんだか勝った気分。

    「烏丸…お兄さんに用だよね、アイツまだ大学から帰ってきてないんだけど、もうそろそろだと思う。俺はもう帰るから、驚かせてごめんね」

    そう言って悪魔さんが帰ろうとする。
    ……ここで帰したら負ける。気がしたので咄嗟に足でドアを開けられないよう固定した。

    「あの、少し話しませんか?ほら、七瀬先輩と同じ学校…想咲なんですよ私。お兄ちゃんが帰ってくるまで相手してください」
    「わ、わかった……それじゃあ、って俺が案内するのも変だけど、その辺に座って」

    悪魔さんに案内されてお兄ちゃんのベッドの上に座った。ざっと見た感じ、まだ同棲はしてない…けど頻繁に出入りしてる感じなのかな。なーんだ。お兄ちゃんも案外奥手なんだなぁ。………でも本気なんだねきっと。

    それから七瀬先輩のこととか、スクールアイドルの話とか他愛もないことを少し話した。けどすぐに会話も尽きて沈黙が流れた。

    目の前に申し訳なさそうにして座っている悪魔さんを見ていると、2年前の事を思い出す。はじめて負けて悔しいって思った日。この人は天才だと思った。でも生きるのが下手くそだとも思った。
    私はこの人のこと、そんなに好きじゃない。ビタビタに貼りついた笑顔が息苦しそうで見てるこっちが苦しくなる。なんでそんな生き方してるんだろう…。…なんでお兄ちゃんのことが好きなんだろう。お兄ちゃんもなんでこの人のことが好きなのかなぁ?私を泣かせるような男なのに。

    …ちょっとからかっちゃおうかな。

    「悪魔さんって、お兄ちゃんの好きな人知ってますか?」
    「烏丸の…?それは……、分からないかな」
    「ふーん。じゃあ知りたいですか?お兄ちゃんの好きな人。それとも別のことが知りたいですか?特別に教えてあげますよ、お兄ちゃんのこと、なーんでも知ってるから」
    「え、ま、まって落ち着いて…」

    バンッ

    悪魔さんに殴りかかるぐらいの勢いで詰め寄ったとき、ドアが思いっきり開かれた。

    「…おい、何してんだよ」
    「烏丸…!」
    「おかえりお兄ちゃん。もう、私がくること忘れてたの?ひどいなぁ…」
    「…何もされてないか?」

    お兄ちゃんは私をどけて悪魔さんに声をかけた。…えぇ、妹は無視なの?

    「されてないよ。ていうかお前、妹が来るんだったら先に言えよ…ほんとにそういうところ…」
    「あ?」

    悪魔さんが何かを察したようにパッと話すのをやめた。…へぇ、今のが素なんだ。面白いの見ちゃった。明日の部活の時に七瀬先輩に教えてあげよう。

    「よあけ、あんまコイツに変なことすんなよ」
    「変なことってなに…?私は何もしてないよ、ね、悪魔さん」
    「そういうのやめろって言ってんだよ…。こいつの性格利用して好き放題すんな。最近のお前は本当に躊躇とかしねぇんだから…」
    「む………せっかく来たのに…!」
    「そうだぞ烏丸。妹が来るのに予定入れてるお前もどうなんだよ」
    「あーーーはいはい悪かった。」

    最悪な空気が流れた。
    ああ、今お兄ちゃんがここにいなかったら私は悪魔さんを殴り飛ばしているかもしれない。お兄ちゃんをこんなふうに変えてしまった悪魔さんが嫌い。嫌い嫌い。

    ……。

    「もう、帰る。お兄ちゃんなんか一生見たくない。そこの愛しい悪魔と海外挙式でもすれば。じゃあね」

    一切振り向かずに駆け抜けるように部屋を出て駅まで走った。
    本当に変わったのはきっと私の方だ。あれも欲しい、これも欲しい。すっごくワガママになっていく。当たり前のように隣にいてくれたお兄ちゃんがあの人に取られてイライラしてるだけなんだ。分かってるけど…分かってても嫌いになっちゃう。
    私よりも、あの人のことを大切にしてるお兄ちゃんなんか見たくない。…あれ、私こんなにお兄ちゃんのこと好きだったっけ…
    わかんない。わかんないなぁ。

    電車の中でボーッと考える。やっぱ言いすぎたかなぁとか、明日七瀬先輩をまともに見れないかもしれないなぁとか。きよちゃんならこの気持ちをどうにかしてくれるかなぁ…。でもこんな変な私、きよちゃんに見せたくないなぁ。七瀬先輩に八つ当たりしてみようかな。ふふ、七瀬先輩、すっごく困っちゃうんだろうなぁ。………やめよう。
    あーあ。このまま電車に乗ってどこか遠くに行っちゃおうかなぁ。お兄ちゃんたちが本当に海外挙式あげたらどうしよう。
    その時は盛大に悪戯しよ。
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