ほんのすこし嫌い 次の土曜日、学校の宿題をするために、隣の町の図書館に行こうとココに誘われた。隣町と言っても、自転車で行ける距離だから、とココは言うが、オレは正直めんどうくさいなって思っていた。
「そこの図書館でいいじゃん……」
「蔵書数が違うんだよ」
「めんどい……」
「自転車で十分位だろ。じゃあ、こうしようぜ。マックに行こう」
だいすきなファストフード店の名を聞いて、顔をあげる。図書館の近くにはショッピングモールがあって、フードコートがあり、ゲーセンなどもある。ショッピングモールに行こうでは親も許してくれないだろうが、図書館なら行かせてもらえるかも。お小遣いもらえるかも。
そう思ってココといっしょに母親に訴えれば、「九井くんといっしょなら」と許してくれそうだったのだが。横から口を出したのが、姉の赤音だった。
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