匂い③今日は、釘崎の買い物に伏黒と付き合っていた。
行き交う人混みの中に、ふと先生の匂いがした。でもそれが何処からしたのかは、人混みに紛れて、もう分からなかった。
釘崎が新しい香水が欲しいと、入った香水店。
伏黒は匂いがキツいものは苦手らしく買い物が終わるまで他の店を回ると言って、行ってしまう。
釘崎の買い物が終わるまで、俺は『TEST』の香水を嗅いで回っていた。
色んなブランドの名前が並んでいる。
すると、一つ気になる匂いがあった。先生の匂いに近い。でもなんか違う。
(先生のは、もっとこう、大人っぽい感じ。癖があると言うか。)
その瓶の前でうーんと唸っていると、店員さんが声をかけてくれた。
「こちらが気になりますか?」
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