頭隠して尻隠さず──俺は今、かの神戸家御当主のナマ尻を目の前に、セルフオアズケを食らっている。
「…おい、何をしている、早くしろ」
詳細は省くが、紆余曲折あってこいつは両親の死の真相に辿り着き、途中なんやかんやと喧嘩したりもしたものの。
今のところ、神戸と俺は定期的なプレイメイト、という立ち位置に落ち着いていた。
ま、俺はもう少し先に進みたいところなんだが、お堅いお坊ちゃんを急かすつもりはねえ。崩れやすい肉じゃがと同じ、じっくりコトコト、って火加減で気づいたらすっかり味が染み込んでるってのが肝心だ。
っと、話が逸れたな。
ついさっき、ロンドンからすっ飛んできた神戸はまた犯人と橋ごと俺をぶっ飛ばし、川に落ちずぶ濡れで戻るのを待ってくれていたと思ったら俺はあれよあれよと言う間にヘリの中に突っ込まれ、ブロンクスから最も近い五つ星ホテルのスイートに問答無用で運び込まれた。
9064