甘えるのならぬいぐるみじゃなく ナイチンゲールの店には多彩なものが揃っている。
衣装や携帯品、家具だけでなく日用品や試合で各々使うアイテムの材料、そして個人的な物まで。
店内にある物でなくとも頼めば何でも届き、アンドルーは数日前から頼んだ物が部屋に届いたと聞いて、足早に自室へと戻っていた。
部屋に入るとテーブルの上にあるイチハツの花が生けてある花瓶の隣に箱が置いてあり、スコップを壁に掛けては箱を手に取った。
箱を開けば、そこにあったのは恋人のルカを模したぬいぐるみがあり、それを手に取ってはじっくりと見つめる。
「……本当に、ルカそっくりだ」
八重歯を見せた余裕のある笑み、腫れた左目、無造作に束ねられた髪……どれもが彼にそっくりで、アンドルーはそっと頭を撫でてみる。
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