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    自創作ss

    ゆめかわ組①まだ硬いYシャツのボタンをとめる。スカートに着いているしつけ糸を切る。ジャケットに袖を通し、リボンを着けた。
    今日は高校の入学式。正直もう学校なんて行きたくなかったけれど、責めて高校くらいは出ておかないと将来に支障がでるから頑張って行くことにした。割と自由な校風で見学に行った時も雰囲気が良かったから、今までの入学式の準備に比べたら俄然足取りは重くない。
    「ゆみかーそろそろ行くわよ」
    下からママの呼び声。入学式だから一緒に行くんだった。
    「はぁーい、今行くね」
    ドアを開けて叫んだ。ちょっとむせてしまった。普段大声なんて出さないから。かわいい制服に身を包んだ私は、ほんの少しだけ、いつもよりかわいいのかな?なんて一回転をしてみた。確かに制服はかわいいけど私は別に…。中学生が頑張って制服着ました感が出ていてなんか不格好。
    なんてやってる場合じゃない。スマホに通知が来ていないことを確認してバックを持って玄関に向かった。
    「ゆみかも高校生なのね…早いわね」
    ママが私の制服を見て頷いた。
    「うん…ありがとうね、ママ」
    こんな私を高校に行かせてくれて。そこまでは言えなかった。この口下手も少しは治す努力をしなきゃ。
    「いいのよ。ママはゆみかが幸せならそれでいいんだから」
    ママは空を仰いで微笑んだ。



    「とりあえず入学式お疲れ様。じゃあ今日から○○高校の生徒となった訳だけど…」
    担任の先生の気だるそうな声が響く。どうしよう。入学式の返事絶対声裏返ってた。「ひゃ、はひゃぃっ」みたいな訳分からない返事していた気がする。恥ずかしくて何も覚えていないけれど、確かにそうだった気がする。どうしよう。恥ずかしい。所謂高校デビュー失敗…。折角お友達新しくできるかなって思っていたのに。Twitterに病みツイでもしようかなって思ったけれど、先生お話しているからスマホ触っちゃダメなのか…。どうしよう、お腹が痛くなってきた。ただ単にストレスの胃痛だけれどお薬飲めば大丈夫なんだけれど…。
    「ねぇね、顔色悪いけれど大丈夫?」
    「はわっ!?!」
    驚いで思わず叫んでしまった。周りを見回したら幸い周りも少しザワついていて振り向かれることはなかった。これでまた目立っていたらそれこそ高校生活終わってたよ…。ってそうだ、声をかけてくれた隣の席の子に…
    「だ、大丈夫です…」
    「ん、そっかぁ。ダメそうだったら言ってね!」
    ニコニコとガッツポーズを決めてきた。ウェーブかかったふわふわとした髪質をハーフアップ風にアレンジをしている。シルバーのラメのアイシャドウの目元。綺麗な二重に長いまつ毛。コーラル色のリップ。シルバーの小さなパール付きのピアス。とにかく…とてもかわいい。同い年とは思えない程制服も着こなしているしメイクも上手。こんなにかわいい子がいるの?思わずずっと見とれてしまう。なんて思っていたら前の席の人がちょっと怒った表情で教科書を渡してきた。
    「全員に回った?じゃあ次は数学配るから━━」


    怒涛の教科書配布タイムを終えて休み時間になった。春休み中ずっとスマホをいじっていたせいでこの2時間程いじれなかったのが焦れったかった。とりあえずTwitterのTLを見てみ
    「やっほー!!!!体調大丈夫だったー!?」
    「うああぁぁ!?!!!」
    ばんっと私の机に飛び込んできたのはさっきの隣の席の子だった。またびっくりして叫んでしまった。喉が少し痛む。
    「だ、大丈夫です…」
    「よかったぁ!」
    嬉しそうに手をぶんぶん振っている。心配してくれてたのかな…。ちょっと嬉しくなった。
    「名前なんて言うのー?あたしはあやせって言うんだ!あやせって呼んで!」
    「えっあっ…」
    「ごめんね!?めっちゃかわいいから友達になりたくてがっついちゃった」
    わ、私のことをかわいいって…?な、なんでそんな急に…でもせっかくそう言ってくれるなら…
    「ゆ、ゆみか…っていいま…す…」
    「ゆみかって言うのね!!じゃあこれからよろしくね!」
    「よっよろしくね…?あやせ…ちゃん…」
    そう言うとあやせちゃんは私の手を握って嬉しそうにしていた。しっぽ振ってるわんちゃんみたい。
    「えへへ、高校で初めての友達だぁ」
    「そ、そうなの…?お友達多そうだけど…」
    「あ、そうそう。このクラスにも中学からのお友達が6人いて、他のクラスも合わせたら30人くらいはいるんじゃないかな〜」
    「そ、そんなに…!?!!」
    友達が今まで1人もいなかった私にとって衝撃的だった。そんなに多いのに私を"初めて"とカウントするという次元の違いに圧倒されてしまった。
    「そうだよぉ。あ、ずっと気になってたんだけど…」
    「へ…!?」
    なんだろう、何か顔に変なものでも着いていたかなって顔を触っていたら、あやせちゃんが急に立ち上がって私のお団子を触ってきた。
    「このおくすり?のヘアゴムめっちゃかわいい〜!!どこで買ったの?」
    予想外のことを言われて拍子抜けてしまった。でも興味を持ってもらえて嬉しい。
    「こ、これ実は自分で作って…」
    「ええぇ!?!!!そうなの!?!??!すごっ!!!!!!!!」
    あやせちゃんは驚いて目を見開いていた。そして私の持ち物を色々物色し始めた。
    「そしたらこのバックのストラップもスマホケースも自分で作ったの!?」
    「う、うん…」
    「すご!!!!!!こんなの作れちゃうの!?!!!?才能の塊じゃん!!!」
    目を輝かせながら私の作った小物たちを並べていった。
    「あたし、こういうの初めて見たんだけどめっちゃかわいいね…!!!えと、なんて言うんだっけ…」
    「ゆ、ゆめかわいいって、言うんだよ…」
    「それだー!!全然見たことなかったけどすっごくかわいい!!気に入っちゃった!!」
    「えっ本当…!?」
    今までこう言ってくれた人は全然いなかったし、私をきっかけにしてゆめかわいいを好きになってくれる人がいてとても嬉しくなった。
    「あ、あのねっもしよかったらなんだけど…」
    「どうしたの?」
    「このヘアゴムの色違いになっちゃうんだけど…もう1セットあるから…あげる…?」
    「いいの!?うっれしい!!!!」
    あやせちゃんは飛び跳ねた。感情表現がとても大きいんだなと思ったと同時に、ここまで喜んでもらえたのは初めてなので私も嬉しくなった。
    「じゃあ明日持ってくるね…!」
    「うん!!」


    お昼すぎ。お腹が空きつつママと一緒に帰り道を歩いていた。初めてお友達ができた。しかも私の作った小物を褒めてくれて気に入ってくれた。明日ヘアゴムと一緒にストラップも渡そうかな、なんて考えていた。
    「…どう?友達はできた?」
    ママはいつもは聞いてこないことを聞いてきた。私の嬉しい表情を見てこの質問をして大丈夫、って思ったのかな。今まで気を遣わせていてごめんね、でももう大丈夫だよ。
    「うん…!初めてのお友達、できたよ…!」
    私は生まれて一番の笑顔で返事をした。
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