神∠者の任務に補佐としてついて行くラワ ワースは早足で山道を進んだ。ざくざくと鳴る足元と、もうひとつ、数歩後ろに同じく足音。ランスは一度足を止めると前を歩くワースに声を掛けた。
「何をそう急いでいる」
「は?いや、お前こそなんでそんな早いんだよ」
「お前が前を行くからだろ」
ワースは眉間に皺を寄せ、そして、ああと呟いた。その顔はすぐ呆れに代わり、その大きな口で大きな溜息を吐いた。
「テメェは神覚者様だろうが、『要人』は大人しく後ろを歩いとけ」
そうして彼はまた前を行く。ランスはその背を見つめ、小さな口で小さな溜息をついた。
神覚者を何だと思ってるんだ。力の象徴だぞ。
そう、今回は神覚者の任務である。大規模な原生林が残る地域にも小さな人の村がある。そこからSOSが届いたのだ。「至急来てほしい、このままじゃ暮らせなくなる」とのメッセージはその地域性から重要視されランスへの任務と成った。
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