微睡みを乞う微睡みを乞う
不意に目が覚める。
ゆっくりと瞬きをして、しばらく貞宗は鈍色に包まれた部屋をぼうと眺める。それから覚醒しきれていない頭で考えた。
いつも起きている時間よりも部屋へ差し込む光が明るいような気がする。
目覚ましは――ああ、今日は休日だからタイマーはセットしていなかったのだ。
身体が気怠い。
そこから自然と己の横で寝ている市河に視線を移す。
静かな寝息を立てているのを思わずじっと見つめた。普段はよく口が回るこの男が、柔い表情で寝ているのをみるのははじめてのような気がした。
そういえば、と貞宗は「かつて」の共寝を思い出す。
(寝顔をついぞみたことがなかったな)
夜の色が濃いうちに部屋を去る市河は、朝までとはいわないがひとときの安息でも常に自分より先に起きていた。
1395