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    8733kawaisugi

    通りすがりの夢女

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    8733kawaisugi

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    うちの夢主達と悠仁の夢

    「....ここ、どこだ.......?」
    目を覚ますと俺は豪華な椅子に座っていた。
    上にはシャンデリア、目の前には綺麗なテーブルクロスがかけられている机、その上にフォークやナイフが置かれていた。出入口はドア1つで窓から見える景色は星空が広がっていた。

    俺は確か脹相と行動していたはずでは、と考えていると黒いベールを被ったウェイトレスの衣装を身に纏う女の子が部屋に入ってきた。

    「目覚めたね。じゃあ、これから料理を持ってくるね」

    「すみません、ツインテールの男の人って見てま」

    「見てない。今はそんなの考えなくていいよ。すぐ戻るね」

    女の子は俺にそう言い部屋から出て行った。

    「なんなんだ....?」

    俺は疑問に思いながら再び女の子が来るのを待っていた。

    ガチャリ

    再び女の子が入ってきた時、手には料理を持っていた。

    「お待たせしました。前菜の春野菜と食用花のサラダです。ビーツドレッシングを掛けてどうぞ。」

    目の前に綺麗な料理が置かれる。

    「食べればいいのか.....?」

    「うん。食べ....あっ!!!ごめん!!」

    「どったの?!」

    「ここの料理には一つ一つ物語があってさ、読み上げなきゃいけないんだ。ちゃんと聞いててね。そうじゃないと怒られちゃうから」

    俺は前、この女の子に会ったことがあるのだろうか。
    凄く、懐かしい。

    「えーと、ある所に人ではない者と人間の女の子がおりました。その2人は種族が違えど愛し合っていました。2人は来年は一緒に春を迎えようと約束をしていました。しかし、2人は死んでしまいました。あと人が死ぬ時、女の子は独りにしないと一緒に死んでしまいました。」

    「......」

    「その2人を模した料理です。食べてくださいね」

    料理を口に運ぶ。

    渋谷事変の後、偏った物しか食べてなかったせいかとても美味しく感じる。

    「美味しい....です.....」

    「ほんと?よかった!!」

    料理の量は少なく直ぐになくなってしまった。

    「なぁ、その女の子って幸せだったのかな?」

    「....幸せだったと思うよ。それに、虎杖君と傍にいれて楽しかったと思う」

    「なんで俺の名前.....」

    「じゃあ、料理取ってくるね」

    女の子は食器を下げてそそくさと出て行ってしまった。






    少し待っていると再びドアが開いた。

    「こんばんはぁ....お料理お待ちしました....」

    さっきの女の子ではなく、手袋と顔を包帯でぐるぐる巻きにしているのが特徴的な女性が入ってきた。

    目の前に料理が置かれる。

    「スープ・ド・ポワソン。黒い薬膳スープです。」

    「さっきの女の子は.....?」

    「それは言えません」

    「でも...」

    女性は俺の唇に人差し指を当てて次の言葉を遮られた。

    「しっ、今は聞いて下さい。私が怒られてしまいます。」

    「.....」

    「このスープはある女性を模したものです。
    その女性は人を治すために全てを犠牲にしていました。しかし、彼女はある男性と出会います。そのお掛けで彼女は溺死を免れました。しかし、彼女は男性が死んだことで溺死してしまいました。」

    この特徴的な声....手袋......懐かしい。

    料理を口に運ぶ。

    魚の旨みが凝縮されたスープがとても美味しい。

    これもまた直ぐになくなってしまった。

    「全部食べれましたね。いい子です」

    「あの、お姉さんって.....」

    「虎杖君、恵君をよろしくお願いいたします」

    解けかけている包帯から刺青に侵食された彼女の顔が少しだけ見えた。

    「御薬袋さん.....!」

    「しっ、それ以降の言葉は刺青の中へしまっておいてください。」

    彼女は俺を制止させ、食器を下げて部屋から出て行ってしまった。







    しばらくするとまたドアが開いた。

    「料理持ってきたよ!!」

    顔を布隠しで覆った凄く髪の綺麗な子が料理を運んできた。

    「ニオイスミレのソルベだよ!!料理の説明するね!!」

    その子はうきうきとした様子で話し始めた

    「ニオイスミレのソルベはとても美味しいよ。でもね、間違えて食べちゃいけないよ。毒があるの。彼女もそうだった。彼女とお兄ちゃんお姉ちゃん達の日々はとても甘くて綺麗だったの。でも.....赤い光で花弁になって消えしてまった。一緒に、居たかっただけなのに。そんな彼女を模したソルベ、赤い匙を使って食べてね」

    赤いスプーンを手に取り、掬って口に運ぶ。
    いい香りが広がり後から優しい甘さがやってくる。

    この料理も直ぐになくなってしまった。

    「美味しかった?」

    「あぁ、凄く」

    「よかった。あ、悠仁お兄ちゃん。悟お兄ちゃんを救ってあげて。それで伝えて。『相代と遊んでくれてありがとう』って『恨んでないよ』って」

    「相代....相代は死んだ筈じゃ.....」

    「ごめんね、お兄ちゃん。これ以上は言えないの。」

    布隠し越しで泣いているのがわかる。

    「脹相お兄ちゃんに『ありがとう、大好き』って伝えて。相代、もう会えないから....」

    相代は俺を抱きしめた。

    「ばいばい、お兄ちゃん。元気でね」

    そう言うと食器を下げて出て行ってしまった。




    またドアが開いた。

    「お料理をお持ちしました。」

    「.....」

    その女性は目に包帯を巻き、ツギハギだらけで歩くのもやっとのような女性だった。

    「大丈夫すか....」

    「お気になさらず。貴方が動く必要はありません。」

    女性は立ち上がろうとした俺を止めて料理を出す。

    「鴨肉のローストです。サルミソースと共にどうぞ。」

    「あの、ほんとに大丈夫すか....?」

    ツギハギから血が滲んでいる

    「大丈夫です。料理の説明をさせていただきます。
    彼女は愛されて育ちました。しかし彼女は籠の中の鳥になってしまいました。彼女は足掻きました。でも無駄だったんです。彼女の翼と足はもがれ、何も残らなかったのです。」

    彼女の目の包帯に赤い血が滲む。

    俺は気が付いた。

    この料理は彼女達の物語だということを。

    つまり彼女は.....

    「さぁ、お召し上がりください」

    料理を口に運ぶ。

    鴨肉は柔らかくソースと合いとても美味しかった。

    やはり直ぐになくなってしまう。

    「美味しかったですか?」

    「はい」

    「よかった....」

    彼女は微笑んだ。

    どこかで見たことがある。

    「ねぇ、真希ちゃんと真依ちゃんは元気?」

    「わからないっす.....」

    「2人をよろしくね。私の事はもう知れないと思うから。......それと、直哉様を止めて欲しいです。恵くん....を殺してしまわないうちに。」

    「あっ....」

    思い出した。この人は真希先輩の話してた薄雪さん.....。

    俺は彼女を後ろから抱きしめた。

    「......頑張りましたね。先輩の事は任せて下さい」

    彼女は俺の手を握り嗚咽を漏らした。

    俺の手に血がぽたぽたと垂れる。

    「ありがとうございます.....」

    彼女は緩く緩く俺の腕を解くとハンカチで血を拭い、食器を下げて出て行ってしまった。




    ドアが開いた。

    「料理をお持ちしました」

    緑色の髪が特徴の眼鏡をした女性が入ってきた。

    「デザートの木苺のケーキです」

    皿に乗ってたのはチョコで出来たドームだった。

    「説明をさせていただきます。彼女はある男により全てを失いました。彼女は復讐の炎に燃え、全てを燃やしつくそうとしました。しかし、彼女の炎は黒い野望に飲み込まれ燃え尽きてしまいました。」

    俺はこの人を知っているような気がする....。

    「中にケーキがございますので暖かいチョコを掛けてお召し上がりください」

    「貴方は.....」

    「お召し上がりください」

    チョコを掛けるとドームが溶け、ケーキが現れた。

    ケーキは木苺の酸味とチョコの甘味が相まって美味しかった。

    やはり直ぐになくなってしまった。

    「お前は真人の......」

    「.....真人がごめんなさい」

    彼女は特級呪霊。

    真人のそばにいて渦巻きに取り込まれたあの呪霊。

    「弁明をする気はありません。貴方のご友人の純平さんの事は謝っても謝りきれません。」

    真人の傍にいるから真人のような性格だと思ってたけど、ただのいい人じゃないか。

    「呪霊も感情とかあるんすね.....」

    「私は元は人間ですから、それなりにありますよ。この姿は人間だった頃の姿です....」

    真人の事は嫌いだ。

    でも、彼女は....

    「私の事はお気になさらず」

    そう言って優しく彼女は俺の頭を撫でてくれた。

    「私はあなたを恨んでません。むしろ申し訳なく思っております。私が恨んでいるのは五条悟だけです。虎杖君、私の恋人の夏油様を止めてください。その為には....五条悟が必要です。五条悟は彼のたった1人の親友です。だから....彼をどうか......」

    彼女は悲しそうな顔で食器を下げて出て行ってしまった。





    「満足したかな?」

    黒いベールを被った女の子が部屋に入ってきた。

    「あぁ。美味しかった」

    「これでお別れだね」

    「そうだな、華雪」

    「......」

    華雪はベールを取るとツギハギの顔でふわりと笑った。

    「バレちゃったかぁ....」

    「お前と友達になれてよかった」

    「うん。僕も虎杖君と友達になれて嬉しかった」

    「今は幸せ?」

    「うん。幸せだよ」

    「そっか」

    「虎杖君、君はとてもいい人だからさ、これから辛い事が沢山あると思う。でも、諦めないで欲しい。虎杖君に幸せになって欲しい」

    「.....分かった」

    「もう時間切れ。虎杖君.....」

    「華雪、またな」

    「.....うん....またね」

    華雪は泣きながら笑っていた。






    「悠仁....悠仁.....起きろ....」

    目を覚ますと目の前に脹相が居た。

    「脹相....」

    「悠仁....悪い夢でも見たのか?お兄ちゃんが抱きしめてやろう」

    「遠慮しとくわ.....」

    脹相は少しショックを受けた顔をしていた

    顔に手を持っていくと自分は涙を流していた。

    「頑張ってくるよ」

    死んだ友達に聞こえるように俺は言った。
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