酔いのせいにして 唇の熱さ。アルコールの香り。
含んだ瞬間の水の冷たさに辛うじて理性を留めているけれど、口づけ合ってしまえば、次第に頭がぽうっとなっていく。
「んっ、ん……」
「……は……」
ぴちゃ、ぴちゃ。鳴るのは水を分け与える音か。それとも、違うものか。
どちらでも構わないような気分になりながら、請われるままにグレイはアッシュの唇に触れていた。
*** *** ***
日々の仕事やトレーニングで身体は疲れ、趣味のゲームに興じる時間は当然ながらヒーローになる前とでは雲泥の差だ。それでも、久しぶりに触れば楽しく、ついつい夜更ししてしまった。とはいえ、日付が変わってそれほど経っていない時間に区切れたのはまだいい方だろう。
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