冬真と春陽SS2作【えいえんのあいを】
手に伝わる温かい血と、反対に冷えていく冬真の体。その微かな温度を逃がさないように抱きしめても意味なんてないことはわかっていた。
俺が殺した。それが、冬真の最期の願いだったから。最期だと、分かっていたから。殺してくれと、もう終わりにしたいと子供のように泣きじゃくっていた冬真の顔はここ数ヶ月見れなかった穏やかな顔で声をかければいつかのようにはる、って呼んでくれそうで。
「…冬真」
半分だけ血の繋がった、俺の兄弟。
俺の希望で、俺の救い。
ずっと冬真が俺の救いだった。ずっと冬真に救われてきた。俺はきっと冬真を救うどころか追い詰めることしか出来なかったけど、最期くらいは弟として兄貴を救えたのだろうか。
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