通り過ぎていく光の影を目で追いながら、時折目を休めるようにゆっくりと瞬きをする。

何かが視界に入る。どこの駅で入ってきたのだろうか、親指の爪にも満たない大きさの、小さな蛾が電車の天井の蛍光灯にぶつかっているのが見えた。

暇だ、そう思った。

私は今実家に帰るための電車に揺られている。いつもなら音楽を聞いて時間を潰すのだが、なんとなくカバンから音楽プレイヤーを取り出すのも億劫で窓の外を眺めて過ごしていた。
外はもう真っ暗闇だから車内の風景が鏡のように窓に映し出されている。離れて座っている男性の姿が視界に入り、無意識に目がそちらに行く。
ぱちり、と目があった気がした。
互いに視線を逸らす。

窓に視線を戻すと男性は下を向いてスマホをいじっていた。観察しているわけではないが、窓の外を眺めようとするとどうしても男性の姿が目に入ってしまう。

【彰冬】无人禁地「1」
  今晚是月圆之夜。
  挂钟的指针指向了十二点整，钟声响起的同时，房门上的电子锁发出了一声“滴”的轻响。
  戴着面罩的人悄无声息站在玄关处，门在他身后自动上好了锁。东云彰人像往常一样站起身，去门口迎接事成归来的杀手。
  “任务还顺利吗？”他边为蓝发青年摘下面罩，边温声问道。
  “托彰人的福，一切都顺利。”
  “那么，这次有没有受伤？”
  “……”
  青年用仅露在外面的一只右眼盯了他几秒，最后心虚地移开了目光。
  东云彰人无奈地叹了口气。
  “伤到哪里了？”
  “并没有伤得很重。”青年摇了摇头，卷起左臂的袖子露出手腕，“只是这只手臂在近战的时候扭了一下，没什么大碍。”
  “……这也叫没有伤得很重？”东云彰人看着那只断了一半、已经摇摇欲坠的机械义肢，几乎要被他气笑，“都快掉下来了，还说没什么大碍？”