あなたに降る灰 最初は靴紐。次はボタン。三個目はネクタイピンで、その次にネクタイにしよう。
最後は何をもらおうか。何がいいかな?
全部欲しいけど、欲張りは駄目だ。謙虚に、ゆっくり、そうでなければ気づかれる。
気づかれれば、石にされる。それは、冷たくて、痛くて、いやだ。
やさしい賢者と噂される人は、いつもいつも「賢者の魔法使い」と共にいる。
しょうがないのだろう。賢者様はだって、弱々しい。攫われれば、いなくなれば、この世の危機だ。
だが、気に入らない。鬱陶しい。つまらない。どうして、なぜ私ではだめなのだろう?
私はなぜ選んでもらえなかったのだろう。こんなに焦がれるのに。会いたかったのに。
誠実な口調に、友好を結ぶいたみを知らない手のひら。良いも悪いも見据えるあの瞳。
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