(空 視点)またいつか会うその日まで探していた妹が世界を脅かす存在の頭領となっていた。
再会したのも束の間、妹は去ってしまった。
『天理との闘いが迫っている。』
『旅の終点にたどり着けば、空もこの世界の淀みを理解するはず。』
『旅の終点でまた会いましょう、お兄ちゃん。』
ショックは大きかった。
だがそれと同時に、蛍が心配になった。
蛍は強い。どんな悲惨な状況でも怯まない。膝を折ることはあっても、決して臆することはない。その姿勢こそが危なく感じたことも幾度とあったが。
泣いたとしても何もなかったのようにすぐに平気な顔をする。
「蛍…」
憂わしげなそれは空(くう)に消える。
ここで立ち止まっても何にもならない。いくら頭を抱えたところで答えなんて見つからない。
368