気を揉んだのは一瞬で 何もかもがうまくいかない日というのは年に一回くらい、いや半年にニ、三度、もしかしたら一月のうちにも。頻度は別として誰しも当然あるものだろう。
それをどう切り替えて過ごしていくかが重要になるわけで、トーマも普段ならあれこれと気を紛らわせながら乗り越えてしまうのだけれど。
今日はそれすらも、だめらしかった。ようやく一日が終わったとソファに沈む頃にはどっと疲れが押し寄せて、せっかく空の元を訪れたというのに大きなため息が出てしまう。
どうにか空には聞こえないように努めたつもりだったけれど、盆を揺らしながら湯気の上がる湯呑みを運んだ空には目ざとく指摘されてしまった。
隠せなかった。それすらもだめなのか今日は。それとも、空のそばにいるから気が緩んでしまうだけなのか。
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