カーネーション(前編)手紙が届いた。差出人の名前はない。
突如、壊れたまま置きっぱなしにしていたテラリウムの中に現れた手紙。消印すらもなく何処から届いたかも分からない。
けれど懐かしい匂いと少し魔法の痕跡がする白い封筒の差出人に察しはつくがそれを開封するのが怖い。
なんて言ったら貴方に笑われてしまうでしょうか。
でもね、しょうがないでしょう?届いた日が悪過ぎるんですよ。
1年前から2人部屋に僕だけ1人。
僕はずっと貴方が許せないんです。
毎食、椎茸の刑に処したい思いなんです。
それすらも許させれないなんて狡いですよ。
ねぇ、僕がこんなに怒っている理由、分かってるでしょ?フロイド。
所有主を亡くしたベッドに腰をかけて深呼吸する。
日に日に薄くなっていく片割れの匂いが胸の奥をツンとした痛みが襲う。
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