どうにかしてもらうだけの会話録。「先輩、どうにかしてください」
「説明が不足してるにも程がある」
「AG2357先輩。AD6614先輩と僕の仲間のAC1677をどうにかしてください」
「それで説明できたと思ってるなら、おまえはもう少しコミュニケーション能力を鍛えた方が良い」
「あいつ、最近やけにAD6614先輩に懐いてるみたいなんです」
「おまえだってそうだろうが」
「勿論尊敬してます。はじめてまともに指導してくださった方ですから」
「遠回しにイヤミか」
「でも、僕以上にべったりなんですよ」
「他に比べりゃ後輩に甘い奴だしな。納得と言えば納得だが」
「“あの先輩めっちゃ親近感ー!目元あたりが!”とかなんとか」
「そんな理由で」
「そんな理由です」
「あー…まぁ仲良くなるきっかけなんて些細な事だったりするしな」
「どうにかしてください」
「何を。何が気に入らないってんだ。その二人のどっちをどうしてほしいんだ」
「ど、どうって……そういえばどうして欲しかったんでしょうか」
「知るか、俺に訊くなよ」
「なんか、あの二人が仲良くしてるのが面白くなくて」
「あー待てわかった、おまえ嫉妬してるんだな」
「え、は?嫉妬?僕が!?どっちに!?」
「そりゃ両方だろ」
「両方!?」
「一番隣にいた自分を差し置いて、親友がべったり懐いた相手」
「あ…」
「自分が先に憧れていた先輩と、後から来てもっと仲良くなった相手」
「う…」
「どっちに不満をもって良いかわからないから、余計もやついてんじゃないのか?」
「……な、るほど」
「要は、勝手にのけものにされた気持ちになってんだよ。案外卑屈だな」
「やめてください!急に羞恥心が!!!」
「で、それをふまえて。誰をどうして欲しいってんだ」
「そ、そうですね…とりあえず」
「とりあえず?」
「あの中に自力で加われるように、僕の背中を押して欲しいですね」