うつくしい予感 予感が、あった。
いつだって先生は、あたしの知らないことを教えてくれるから。
* * *
最初で最後のデートだっていうのに、先生は早々に頭を打って、記憶を飛ばしてしまった。せっかく特別扱いしてもらってるんだから、どうせなら海で一緒に遊びたかったなあ、とか思わなくもないけど、まあ、辛気くさいよりはいっかと思い直す。いろいろ混乱してる先生をなんとかホテルにひっぱって、冷蔵庫を開けた。好きな人に手料理をふるまう日が来るなんて思わなかったからちょっと緊張する。でも、自分でも自信をもって言えるくらいには料理が得意でよかったって思う。先生にはいっつもダメなとこばっかり見せてたから、これで少しは見直してもらえるかな。
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