イルクーツク在住僕、彼女にフラれてやけ酒したら不良に絡まれました いくらイルクーツクが観光地だからといって、夜に人通りの少ない路地裏に足を踏み入れるだなんて自殺行為に近い。日が落ちると不良達がたむろして、目をつけられようものなら無傷では済まないだろう。
そんなことは僕だって百も承知だ。でも今日ばかりは、そんな事すら忘れてしまうほど、僕は落ち込んでいた。
どうしてかって? 彼女にフラれたんだよ。そりゃもうこっぴどく、完膚なきまでに。
どうやってフラれたかなんて覚えていない。好きな人が出来たとかなんとか、その人は僕よりも顔が良くて何よりあなたみたいにヒョロヒョロじゃなくてもっと逞しくてしっかりしているとかなんとか。それはもう散々な言われようで最後のあたりは精神が聞くことをを無視した。こちらを振り向きもせずに去って行く〝元〟彼女の姿を見ることすら出来ず、僕は俯いて立っていることしか出来なかった。
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