案外悪くない。というかむしろ最高! 忙しくない時間帯を選びC&Dにやって来た監督生は、キッチンの中で作業をしているイデアをじっと見つめ、メニュー表でニヤけてしまう口元を隠していた。
オーダーシートと睨めっこしてぶつぶつとなにかを唱えているが、多分作業工程を口に出しているのだろう。ふふふと微笑んでいると、少し後ろの席から黄色いヒソヒソとした声が聞こえてきて、むむっと監督生の眉が寄り耳を澄ませてしまう。
「キッチンにいる髪が燃えてるお兄さんかっこよくない?」
「私はローラースケートのお兄さんがタイプだなー」
きゃっきゃと話している中での髪の燃えたお兄さんというワードが誰を指しているのかは簡単すぎる謎解きでしかないので、監督生はふふんと誇らしい気持ちとそんなの私の方が知ってますし! という後方腕組み彼女ムーブをかましてしまいそうになるのを、ぷるぷると首を振り諌める。
2005