都市伝説ともらい事故「触ってもいい? いいよねー」
いいともダメとも答える前に、生足くんに腕を触られた。「ふーん、こんな感じなのかー」と、むにむにむにむに。
「あのね、生足くん。触ってもいいけど、わたしの答えを聞く前に触ってちゃあ、わざわざ断りを入れる意味がないんじゃないかしら」
「ふふん。いーんだよ、こういうのは社交辞令のようなものだし。ほら、ミチルも触ってみなよ」
「ああ? 何で俺が」
「いいからいいから」
「わたしは別にかまわないわよ、不良くん。触られたからって減るものでもないし」
「んじゃ……」
不良くんも、むにむにむにむに。
「どう?」
「どうって、何がだよ?」
「眉美ちゃんの二の腕の感触」
「感触……、ぽやぽや……やわやわ……ふにふに……」
「不良くん……、語彙が小学生みたいよ」
「うっせえ、要はやわらけーってことだよ。なあ、ヒョータ。感触がどうかしたのかよ?」
「あれ、ひょっとしてミチルも眉美ちゃんも、二の腕のやわらかさはそのひとのお胸のやわらかさとほぼ同じって知らなかった?」
「二の腕のやわらかさは……」
「そいつの胸と同じ……?」
わたしと不良くんの視線が、わたしの二の腕をむにむにつかむ不良くんの指の上で交わって――。
「ぎゃっ!」
「ぅわっ!」
「セ、セクハラよっ! 不良くんっ!」
「俺じゃねえよ、言い出したのはヒョータだろ! おいこらやめろ、クッションを投げるな!」
「言い訳無用っ! 不良くんがショックで今の出来事を忘れるまで、わたしはクッションを投げ続けるわっ!」
わたしが投げたクッションを、ふんふん笑みを浮かべながら生足くんが返して寄越す。完璧なサイクルだ。
「ふたりとも仲良いよねー。でもさー、これはボクの持論だけど、ほぼ同じっていってもやっぱりお胸のやわらかさに勝るものはないよねー」