「なんなのその恰好」
廊下を歩いていると後ろから声を掛けられた。馴染みのある不機嫌で冷たい声。どうして声を掛けられたのかなんて、聞かなくても分かる。上機嫌で、踊る様にくるりと振り返った。
「オーエンか?良いだろうこれ!」
クロエに作って貰ったドレスを見せびらかすように両手を広げる。
身体のラインがくっきりと出るようにぴったりな…と言うよりもはや布切れと紐だけのドレス。背中はⅤ字カットで、レース素材で縁取り、より大人っぽい印象にしようとクロエが提案してくれた。
どうだ?と胸を張ればおおきく揺れてちょっと痛い。
インナーは着けていないが、問題ないようにドレス自体にバストパットがあるらしい。
「…………なんで女になっているの」
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