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    mhyk_kabeuthi

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    mhyk_kabeuthi

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    現パロ
    大人✕小学生でナチュラルに付き合ってます。

    過去に転生する話。

    クリスマスプレゼント すぅすぅと小さな寝息。規則正しくゆっくりと上下する身体。そっと手の平を身体に当てて様子を伺う。薄く開いた唇からはみっともなく涎が零れて落ち、枕を濡らしていた。
    「全然起きないな…」
     オーエンは思わずそう呟いた。窓の外の太陽は明るく世界を照らしている。大変珍しくカインが寝坊をしている。丁度良いとオーエンは準備を済ませてから、寝ているカインの身体を思いっきり揺さぶった。

    ◆◇◆◇◆◇◆

     久々のお泊りデート。しかも今日はクリスマスイブだ。カインの興奮はいつまで経っても収まらず、オーエンは辟易した。早く寝てよと言えば「オーエンが寝たらな!」なんて言う。自分の方が子供の癖に、オーエンをベッドに横たわらせて、小さな手を伸ばし、オーエンの頭をよしよしと撫で付けた。
    「良い子だから、早く寝ような」
     優しい手付き、優しい声で囁く。
    「…………」
     一周り以上年下の小学生に寝かし付けられる成人男性の図はあべこべで、歪でおかしい。だけど、これがこの二人の普通だった。
    「……はぁ、分かったよ。寝るから、お前もさっさと寝て」
     一々相手にするのが面倒になったオーエンは大人しく寝る事にした。
     視界の端に映るのは、少し大きめの靴下がベッドの柱に括り付けられている。お菓子がたくさん入っていた靴下。中身の殆どはオーエンの胃の中に収められてる。お腹いっぱいに甘いものを食べたせいで、お腹も心も満足して眠気に襲われていた。
     カインも同じはずなのに、サンタクロースを心待ちにしているからか、瞳は爛々と輝きを放っている。
    「…………じゃ、僕はもう寝るから」
    「! ああ、ぐっすり寝ていいぞ」
     何処か嬉しそうにはつらつとしているカイン、もう小学生なのに、まだサンタクロースを信じているのかと呆れた。
    「お前も、さっさと寝なよ」
    「オーエンが寝たらな」
    「……おやすみ」
     瞳を閉じれば、瞼にふわりと当てられた柔らかいもの。
     カインがそっとキスを一つ、落とした。
     温かい手のひらに撫でられながら、ふわふわの布団に包まれて、ゆっくりと意識は微睡んでいく。

    ◆◇◆◇◆◇◆◇
     
     やがて聞こえてきたくぅくぅと言う寝息。オーエンの唇にそっと耳を寄せて、嘘ではないか確かめる。小さな、小さな声で名前を呼ぶ。
    「オーエン…寝たか…?」
     暫く待ってみても反応はない。
     もう一度、確かめる為に頬にキスを落とすと、擽ったそうにもぞもぞと顔を枕に埋めるだけで、瞳は閉じたまま。 
     完全に寝たと判断して、ゆっくり、そーっとオーエンの腕からすり抜けてベッドから出る。
     お泊り道具が入った鞄からそっと目当の物を取り出して、にやりと笑う。
    「ふ、ふ、ふ、明日起きたらびっくりするかな」
     ニヤケ笑いが収まらず、唇端が釣り上がり頬が赤く染まる。
    「ん、ん〜……」
     オーエンがもぞりと身動いだ。腕がシーツの上を這いながら、いなくなったカインを探し求めて彷徨う。
    「あ、ごめん」
     慌ててベッドへと戻る。布団に入る前に、柱にぶら下がっていた靴下の一つを手に取ると手にしていた物を強引に中に入れた。
     用意した靴下は二つ。
     カインの分と、オーエンの分。
     オーエンはなんで僕の分も?と訝しんだ。当たり前だ。だってサンタクロースがプレゼントを贈るのは良い子にしていた子供にだけ。
     オーエンは大人だし、はっきり言って良い子ではない。
     だけどカインは不思議で仕方なかった。
    『なんで大人は貰えないんだ?』
     大人に聞いたら、子供の頃に貰っていたから良いんだよ。と言われた。大人にもプレゼントを配っていたらサンタクロースが大変だから、大人は子供の為にサンタクロースの手伝いをするらしい。
     どうやらクリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰えるのは、子供の時だけの特権らしい。
     カインは大いに悩んだ。
     クリスマス前にオーエンと話しをした時に、彼はこう言った。
    「僕、クリスマスプレゼントなんて貰った事ない」
     この言葉はカインに大きな衝撃を与えたが、同時に納得も出来た。
     ………………オーエンは子供の時から悪い子だったんだ。
     だからプレゼントを貰えなかった。そう思えるだけ、今の大人オーエンも十分に悪い子だった。
     自分の恋人ながら、とんでもない奴だとカインは頭を抱える。だけど、今までプレゼントを貰えなかったのは、少し可哀想で、憐憫の情すら湧いてくる。
     きっと、プレゼントが貰えなかったから、ここまでオーエンの性格もねじ曲がってしまったのだろう。良い子じゃないのが原因だが、良い子のオーエンはそれはもうオーエンではない。オーエンがオーエンのままで、どうにかサンタクロースからプレゼントを贈ってやれないか、カインは悩んでいた。
     初めはサンタクロースに直談判するつもりだったが、当日にいきなり言われてもサンタクロースも困ってしまう。何とか事前にサンタクロースに連絡を取れないかと大人に聞いてみても「サンタは忙しいから」と言われてしまい、打つ手がなかった。連絡先を尋ねても「本人の許可無しに勝手に教えるのは…」と渋られた。
     ならば…と考えに考えた末に、思い至った結論は一つ。
    「自分がサンタクロースの振りをしてオーエンにプレゼントを贈ろう」
     カインはこの妙案に自信があった。
     何故ならばカインは小学生で子供だが、ただの子供ではない。
     大人とお付き合いしている子供だった。
     つまり…………子供でありながら、大人でもある!
     と、言うのがカインの自身への認識だった。
     大人はサンタクロースのお手伝いをして、プレゼントを配っている。
     子供ながらにして大人の自分にだって、その手伝いをする資格を有しているはず。クリスマス、サンタクロースのプレゼント…決してルールからは逸脱していない。相手が子供ではなく大人なのが問題だったが、今まで貰っていなかったのだから、一回ぐらいなら見逃してくれるかも。
     幼い子供が必死に思考を回転させて辿り着いた結論。クリスマスのサプライズプレゼント。
     オーエンは喜んでくれるかなと、わくわくしながら、ベッドへと戻る。サプライズを思い付いて実行に移すまでは興奮して落ち着かなかったが、無事にプレゼントは靴下に入れられた。安心したからか、それまで冴え渡っていた思考は徐々に霧散して、ふわふわになっていく。小さな口を大きく開いて欠伸が止まらない。
     オーエンの腕の中に納まると、安心したのか一気に睡魔が暴れ出す。
    「……おやすみなしゃ…」
     目の前の胸元に頭を預ける。
     探し物を見付けて出して安心したのか、離さないように、オーエンは無意識にカインを抱き締めた。大きな腕が心地良くて、瞼を閉じればすぐに夢の中へと落ちていった。


    ◆◇◆◇◆◇◆

    「カイン、そろそろ起きて」
     ゆさゆさと身体を揺さぶられた。カーテンから漏れる日差しが眩しくて、逃げるように頭を抱え込むと無理やり腕を掴まれてバンザイのポーズ。
    「ぅえ…なぁに」
     しょぼしょぼと目を擦り、起き抜けで頭が上手く回らない。
    「…おはよう」
     ベッドから下りても、まだ半分夢の中にいるカインはふわふわの足取りで覚束ない。仕方無いなと溜息を吐いてから、オーエンはカインの背中をポンっと優しく押して上げた。
    「ほら、プレゼント届いてるよ」
     眠い目をなんとか開いて、手に掴んだのは枕元のベッドに括り付けられた靴下。指先にコツン、と固い物が当たった。
    「! プレゼントッッ!」
     一瞬で、パッと覚醒した。オーエンの顔を見ると「開けてみな」と言われたので素直にそれを手にする。
    「わ、ぁ…」
     靴下の中にあったのは、小さな箱。何が入っているんだろうと、わくわくそわそわして包装紙を剥がしていく。宝箱を開ける瞬間の、キラキラの瞳が捉えたのは――――――薄い最新型のスマートフォン。
    「?!??!」
     カインの目がまんまるのお月様になる。
     まさか最新の電子機器が入っているとは思わなかった。外で遊ぶ為のボールとか靴とかを予想していたのに。ゲーム機が欲しいとは思っていたけどまさかのスマートフォン。
     電源ボタンを押すと画面が光り出す。起きぬけには眩し過ぎる光に何度か瞬きを繰り返した。
    「えっと、これ…」
    「お前スマフォは夜8時までしか触らせて貰えないんでしょ。だから僕との専用スマフォをサンタがくれたんだよ」
     サンタクロースがピンポイントでオーエン専用機械を贈るのかと、まだ見ぬサンタクロースのリサーチ力にカインは心から驚く。
     そんな驚いたカインを見て、オーエンは内心ホッとした。
     昨日寝る前に「カインが起きる前に入れれば良いや」と軽く考えていたが、そもそもオーエンは目覚ましを掛けない、起きたい時に起きると言った生活をしている為、たまたま早起き出来たのは偶然の産物。カインが夜更かししたからなんとかなっただけだった。
    「でも、8時過ぎたら触っちゃ駄目ってお母さんが…」
    「ふぅん…」
     生真面目なカインは親からの言い付けと、親の了承無しに高価な贈り物を貰う事に葛藤していた。プレゼントを喜びたいのに、素直に喜んで良いのか分からなくて云々と唸る。
    「じゃあ、8時ギリギリまで僕とお話してよ、それなら良いでしょ」
    「ん、んん〜〜…分かった」
     どうせ使い始めればなし崩し的に抵抗感は無くなるだろうと言うオーエンの算段に、カインは頷いて受け入れた。
     勿論、生真面目なカインは8時まではオーエンとスマフォで通話をするが、時間になった瞬間切るという対応を崩す事は無かったが、それはまた別の話。

    「ほら、僕の連絡先入れてあるから」
     カインの手からスマフォと取ると、操作について教えてあげようと画面を見せるが、カインはフッとオーエンの側から離れてしまう。
    「なに?」
     視線でカインの背中を追う。向かった先はベッド……に括り付けられているもう一つの靴下。
     そっちには何も無いはずだと片眉を上げる。
    「あー、プレゼントガハイッテルゾー」
     信じられない程の棒台詞にオーエンの目もまんまるのお月様へ。
     にかーっと笑って靴下をオーエンに差し出した。
     ここには何も無いはずだけど…と手に取れば、カサっと小さな音。何かがそこに入っていた。
    「いつの間に」
     手を入れて取り出せば、折られた紙が一つ。
     折り目を一つずつ開いていくと、目に入る文字にオーエンは困惑した。
    「なんでもお願い券…」
     長方形の紙にチケットの様に書かれている文字を読み上げる。カインはふふんと得意気に胸を張った。
    「サンタさんからオーエンへのプレゼント!それはオーエンのお願い事をなんでも聞いてあげるよって言う、すんごい券だぞ!」
     大きく書き過ぎたのか、所々紙に収まりきらずに途切れているし、字は大雑把でお世辞にも綺麗とは言えない。なのに、その券は今まで見たどんな絵画よりも、美しい風景写真よりも、芸術的作品のどれよりも価値のある物に思えた。
    「これ、有効期限あるの?お願いは一回だけ?繰り返し使えるの?なんでもって何処まで許容範囲?」
    「え、きげん…えっと、無期限!で何度でもおっけー!悪いこと以外は大丈夫だ!」
     オーエンに捲し立てられてしどろもどろになりながらも、なんでもお願い券の使い道を説明する。
     オーエンは紙をくるくると回転させて表と裏を何度も繰り返し眺めた。表情は何時もと変わらないが、物珍しそうに見詰める瞳が、楽しげに揺れている。
     有効期限が無いのならば、暫くは額に入れて飾って置こうと決意。カインが大きくなって身体が成長した際に遠慮無く使わせて貰う事にした。
    「オーエン、何かお願い事はないか?」
     カインの瞳が期待に満ちてキラキラと輝く。今すぐ其れを使って欲しいとキラキラの目が語っている。
     …………無期限なら、今使っても良いかな。
     脇の下に手を差し込んでカインを抱き上げた。ベッドに腰掛けて、膝の上に乗せて腕の中に閉じ込める。
    「じゃあ早速だけど、僕のお願い聞いてくれる?」
    「ああ、悪いこと以外ならなんでも良いぞ!!」
     後ろに倒れて二人並んで横になる。はらりと落ちたチョコーレート色の髪が波打つ。オーエンは指先で顔に落ちた髪を払ってあげた。キラキラの瞳。お日様みたいな双眸・・が、オーエンを優しく見守る。
    「生まれ変わっても僕の物になって」
    「……んん?」
     それがお願い?怪訝な顔で眉間に皺が寄る。もっと具体的に、なにをして欲しいとか言って欲しかった。オーエンのお願いはふわふわしている。抽象的で、カインがどんな事をすれば良いのかが分からない。
    「なんだそれ…」
    「そのままの意味だよ」
     ぎゅっと力を込めて抱き締められた。少し苦しくて痛い。離して欲しいけど、オーエンの声が少し震えていて寒そうに聞こえた。温めてあげたくて、背中に腕を回して抱き締め返す。
    「例えば、ここじゃない世界に行って…こんな風に歳が離れていない、同い年で学生だったり、人間じゃない妖怪になったり、生身じゃない機械になったとしても
     何処にいても必ず見つけ出すから――――」
     だから、ずっと僕の物でいて。

     「……ん、分かった」
     手の平をオーエンの顔に添えた。生きているのに、死んでいるみたいに冷たい肌。顎を掴んで顔を寄せる。
     触れる温かい唇。ただ重ねるだけの幼い口吻を何度も繰り返した。
    「大丈夫、ずっと側にいるから。お前だけ置いていったりしないよ」
     オーエンの赤い瞳はカインだけを見ている。
     今から昔まで、ずっとその目はカインを捕えて離さない。
     どんな姿になっても、何処に行っても、必ず、

    「魔法使いになって、お前を探しに行くから」





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