愛でたし、愛でたし「セナ、赤ちゃん産んで!セナの赤ちゃんなら絶対かわいい。おれ絶対に愛してみせるから!」
何で影響を受けたのか、絶望的に見当違いな事を言うれおくんに目眩がした。
愛だの恋だの、本当に馬鹿馬鹿しい。
「あんた、赤ちゃん見てひたすら愛でたら、飽きてすぐどっか行きそうだよね。」
「でも恋しくなったらすぐ戻って来るし、そしたらめちゃくちゃ大切にするぞ?」
まるで間違いなんてないように、さも当然とばかりに、れおくんは純粋な目で言葉を返す。
赤ちゃんを愛でて、きっとれおくんは満足するんだろう。
れおくんが愛でたいと思った瞬間、いつでも愛でられるように生を維持するのは、俺。
そしてれおくんの言う赤ちゃんの時期が終わったら?歩いて、言葉を話して、会話ができるようになったら?そうしたら、れおくんはどうするんだろう。
「まぁ俺は男で産めないからねぇ。精々俺だけ愛でて満足してな。」
「だよな〜」
ハハッと笑って、俺をギュッと抱きしめて、頬にキスをして。
そして財布とスマホと、小さなバッグを1つ手に持って。
「じゃあセナまたな〜☆」
そうしてれおくんは、今では1日も滞在することがなくなった我が家を出て行った。
今度はいつ、愛でたくなってくれるのだろうか。