SF死亡√ アヴァッさん視点しくじった。
使い過ぎた体はいう事を聞かず、立ち上がろうにも四肢に力が入らない。
それでも、なんとか這いずって出口へ向かおうと藻掻く。
それまで途切れていた通信機から、ザーザーとノイズの音が耳に届く。
『ア…―さん…ッ!』
聞きなれた、諜報部員の声が聞こえる。
まだ通信機が壊れていなかった事に、安堵した。
「この、建物に爆弾を、しかけた…。早、く…に、げろ」
『…でも…それじゃアヴァさんが…!!』
と諜報部員があからさまに動揺する。
当たり前か。
だが、建物の崩落したこの場所を見つけ出すには、どう考えても時間がない。
「…俺の事は…かまうな…。自力で、脱出する。経路だけ、教えろ」
そう言って、俺は通信機の電源を切った。
その言葉は嘘ではなかった。
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