ある「元」光の戦士の6.01その4「まさかタタルさんにホルムギャングの素養があったなんて」
「暴れるヤクを生捕りにするのに便利なのでっす」
「オーバースペックだよ」
「放射状なのが当てづらいのでっす」
「それはオーバーパワーだよ」
タタル、戦士にでもなるのだろうか。
「フィーネさん元気がありませんねえ」
「タタルさんのせいだよ」
縛り上げて石の家まで連行されてきた。その直後に元気が出るものか。
やれやれ、と肩を落とすフィーネの全身を、タタルの視線が上から下まで何度も往復する。
「少し痩せまっしたか……?それに、なぜ弓を持っているのでっす?」
「不健康なわけじゃないよ。今はのんびりしているし、冒険していた頃より食べる量が減ったかな」
タタルの指摘はもっともで、フィーネは暁の血盟と行動を共にしていた頃から痩せている。とはいえ、あの頃は毎日野を駆け、魔物と戦い、帝国と戦い、蛮神を討滅し、夜には疲れたと叫びながら大量の食事を摂って風呂に入りすぐに熟睡していた。
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