日常1「せんぱぁい」
俺の家で晩飯を食った夜、テーブルを挟んだテレビの正面に座って防衛隊の特集を見ていた俺に背後から抱きついてくる市川。食器洗いが終わった後の冷たくて細い指先が俺の身体をなぞり、頸にやわらかなものが触れる。それは首筋、耳にも。ちゅ、と小さな音が繰り返される。
「今テレビ見てんだよ」
「俺も見ます」
CM開けるまで……と言って彼は俺の身体に触れる。いやらしい触り方をするものだから、嫌でも身体の芯が甘い期待を持ち始める。
「見終わって風呂入ったらゆっくりしてやるから」
俺は市川にもたれかかって上目遣いで彼と目を合わせ、そっと瞳を閉じた。さっき頸に感じた柔らかな感覚が唇に触れる。それはすぐに離れ、市川の柔らかな声が降ってくる。
477