Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    足田おし

    Twitterは@Tarita_Oshi
    氷帝とかにょた百合とかジロガク好きなオタク。
    忍足UCにはガチ恋なオタク。
    フォローは自己責任で。
    人を選ぶ絵(R-18等)はこちら
    https://poipiku.com/2601366/

    無断転載禁止/All rights reserved

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    足田おし

    ☆quiet follow

    幽霊の向日岳人と芥川慈郎のおはなし
    ちょっと暗いかも

    「ね、なにしてんの?」

    おれがふわふわ飛び跳ねてると、後ろから寝ぼけた声が聞こえた。ふわふわの金髪。
    あれ、ずっと思ってたけど寝癖か?

    「何って、飛んでんだよ。ほら」

    俺が120cmくらいぴょんっと飛び跳ねると、そいつはパッと顔を輝かせて覚醒したようだった。

    「すっげ〜!!まじすげぇ!!もう一回!もう一回やって!」

    あんまり目をきらきらさせて強請られるものだから、ぴょん、ぴょんといつもより高く飛ぶ。
    楽しい。
    人に飛んでいる姿を見られるのは好きだ。
    みんな驚いたり、たまにこいつみたいに楽しそうにしてくれる。俺だけを見ていてくれる視線は心地良い。

    「なー、どうしてそんなに高く飛べんの?」

    「んー?一日一跳って言葉しらねぇ?」

    「なにそれ?」

    「俺が作ったことわざ!」

    ぐるっとムーンサルトをすれば、またそいつの目は輝いた。

    「一日一回高く飛べばその分飛べるようになるんだよ。やってみそ」

    「忍者みてぇ!」

    あっはっはと豪快に笑い出したそいつは、制服のブレザーを敷いた床の上にごろんと横になる。

    「おれにもね、きみに似た幼馴染がいたんだけど……もういないみたい」

    「ふーん、どっかいったとか?」

    「亡くなったよ」

    「そーか、俺ってそいつに似てんの?」

    「うん、すげー似てる。似すぎてびっくりしたもん」

    「……また会えると良いな」

    「ずっと先になっちゃうのかなあ〜。
    でも会いたい気持ちはずっとあるよ」

    そういうと瞼が重いのかうとうととし始める。
    俺はそいつの方に寄って、なんとなく顔を見たくなった。

    「また会えるって。だからとりあえず無理しないで寝ろよ」

    「ん〜?うん……わかった……」

    言ってるうちから睡魔に襲われていっているみたいで、彼の瞼は完全に閉じてしまった。

    すやすや、夢の世界に落ちたそいつを見て、俺は元の場所へ戻る。

    ここはテニスコート。
    俺はずっと、ぴょんぴょん好きに跳ねて、たまにふわふわゆらゆら浮かんで揺蕩って。
    正レギュラーとかの練習をふわふわ浮かんで見てはダメ出しするけど、誰にも聞こえていなさそうだった。

    ゆーしは珍しく泣いていた。2日にいっぺんくらい。
    日吉は部室の俺のロッカーをじっと見ていることが多くなった。
    跡部は少し抜けていた。
    樺地は跡部を懸命に支えている。
    宍戸はピリピリして、鳳は戸惑っていた。
    滝は俺のロッカーにずっと花を一輪供えてくれている。
    ジローはずっと起きていた。今日まで。


    今日は49日目。最期にジローに会えてよかった。
    だいぶ色も薄くなって軽い身体。
    意識だけははっきりしていた。
    ジローにはどう見えていたんだろう?

    俺はいまから天国に行くのかな、わからないけど、またジローに会えそうな気はした。

    少し寂しくなる。
    どうして俺のこと見つけちまったんだよジロー。ほんと最期まで空気読めねぇやつ。

    夕暮れ。意識が急激に薄れる。
    橙に溶けていく身体を、俺はぼんやりと見つめた。目を閉じる。

    おやすみ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗🙏😭😭🙏💞🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator