うれしいかなしいさみしいああ、ほら、まただ。
「いってくるね」と「ただいま」をするときにいつも端正なままで形を失わないその顔が少しだけ泣き出しそうに歪むこと、気付いたのはいつだったっけ。
「そう、今回はちょっと特殊かも。どれくらい特殊かというと……うーん、ピノコニーのときくらい?」
「それは僕も同行した方がいいんじゃないのか」
「んー、でも上からは指示出てないし君だって大変な案件の度に同行するわけにはいかないだろ。君は君で研究やら開発やらで忙しいんだしさ」
「そうか」
その顔に少しだけ影が落ちる。教授はきっと気付いてないんだろうけど。
「大丈夫だって。現地に協力者もいるらしいからさ。今回教授に同行依頼が来てないのはだからじゃないかな」
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