100日後にくっつくいちじろ13日目
「はい、ええ…ええ、…いえ、そんなことは」
一郎は沸騰直前のお湯の如く、イラついていた。
接客業ではよくあることだ。厄介な客がしょうもないことでクレームをつけてくる。クレームというよりは最早いちゃもんであった。最初から言葉の端々で面倒な気配を感じていた一郎は、何度も確認した上で行った上で仕事をした。にも関わらず後から愚痴愚痴と文句をつけてくる。これがラップバトルだったらどれほどいいことか。しかしすぐブチギレることが出来ないのがまた社会人の辛いところである。
「はい、では失礼します」
特に金を返せだの、何かをやり直せという内容ではなかっただけマシか。面倒くさいという雰囲気を出さないような相槌を凡そ三十分間繰り返し、漸く終話できた。依頼内容通り、仕事をしたまでなので、それについての謝罪は会社として行わなかったが、もっと気を利かせてプラスアルファ欲しかった、だとか言われた部分は「そこまでの配慮が行き届かなかったこと」に対して謝罪をした。
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