140字SS■在学時・片想い~両片思い
【あかりを灯す】
最初は『認められたい』と思っていた。それがいつの間にか『期待に応えたい』に変わっていた。
皆のように演奏しなくても、共にステージに立たなくても。
見守ってくれている貴方の優しい眼差しを感じると、ぽっと心に熱が宿るから。
今日もまた、私はステージに向かう直前に、貴方を見る。
【鼓動】 ※ホーム台詞ネタ
「大荷物だな…コンサートの準備か」
譜面台を抱えてよろめく私に、声をかけてきたのは篠森先生。
「貸したまえ」
重いのでと遠慮する暇もなく、先生はひょいと荷物を奪っていく。
「へ」
「これもステージマネージャーの仕事だ」
――先生も男の人なんだなぁ。
とくんと心臓が跳ねた。
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