上から下へなぞるように、指先で胴体のやわらかい部分に触れる。一枚の薄い布越しに、ぴく、と震えが伝わった。ちいさな窪みを確認して、そこから少し上の位置で手を止める。ここだ。と印をつけるように柔く押し込んだ後、手をグーの形に変えた。肩にかけられた手は汗ばんでいた。
「…本当に、いいですか」
「いいから、」
好きなタイミングで、好きにしていいよ。と熱を孕んだ目で、しかしどことなく青褪めた顔で微笑まれる。好きにしていいなら、今すぐこの行為を辞めさせてもらいたい。というのがグラスの本音だが、その主張が通らないことは重々承知している。溜息を押し込むように、静かに息を吸った。先ほど定めた位置に視線を合わせ姿勢を正す。拳を後ろに下げて、そして勢いよく突き上げた。
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