逆転AU導入 エデンの園に、すらりとした体躯の天使が一人佇んでいた。風に靡く鮮やかな髪の色は先ほどまで携えていた炎の剣を思わせる。手を取り合い去って行く二つの人影を見守る暗色の瞳は好奇心で輝いているが、同時にどこか緊張してもいる。
その足元に一匹の蛇が音もなく這い寄った。そのシルエットが大きく膨らんだかと思うと、ふくよかな悪魔の姿をとる。天使は隣に立つ悪魔をちらりと見て軽く頷いてみせた。
「ハイ、アジラフェル」
「クロウリーだ」
悪魔が唸るように答える。天使は顔をしかめて一歩退くと、悪魔を頭の先から爪先までじろじろと見た。そして素っ頓狂な声で言う。
「アジラフェルだろ? 星を創るときに手伝ってくれたじゃないか」
忘れたのか? と言わんばかりの態度に、悪魔は憤慨のあまり胸を膨らませて答えた。
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