UtopiaUtopia:
現実には存在しない、理想的な世界
理想郷
無何有郷
何処にもない場所
二度とは、こんな夜は無いだろう―
「っは、ぁ……っ…んっ…っ」
薄暗い部屋に漏れる吐息は甘く、褐色の肌には薄らと汗が浮かんでいる。
「声、我慢しなくていいですよ」
背中から声を掛けると、シーツに額を擦りつけていたその人は緩慢に首をもたげてちらと此方に視線を寄越した。
特徴的な眉の根を寄せて、浅く息を吐くその唇は濡れている。此方を睨むように見るその眼には欲が滲んでいた。
「っ…っあ!…っん、…ぐ、ぅ…っ」
煽情的なその眼に、唇に、煽られる。
下肢を弄っていた手に力を籠めると、一度きり、高い声を発したその唇は直ぐに閉じて漏れる声を呑み込もうとした。耐えるその姿がいじらしい。
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