「そうだアウィン、結婚しようか。」
リビングの窓から見える太陽が頂点を通過して暫くした頃、砂糖を何杯も入れた紅茶を飲みながら新しく養子を迎える準備の為書類に目を通していたルーチェはそう呟いた。
「…は?」
突拍子もない彼女の提案に目を丸くした私に対し、彼女は養子とは言え幼児を自分の息子として迎えるのであれば適切な家庭環境を用意しておくべきだと説明した。
「コーディエ達は弟子としていずれ騎士になるという目標をあげていたからいいけど〜…黒の民とはいえ魔道士になるとは限らないし出来るだけ普通の家庭と同じ環境を作ってあげたいんだよね〜」
「それはそうかもしれないが…」
ここまでして言おうとした言葉が詰まった。
"ルーチェはそれで良いのか?"
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