I could just die「ユリウスッ!」
サントレザン城の回廊。普段静寂に包まれているこの場所は大きな声を上げればそれはそれはよく響く。まだ若い新王陛下の弟殿下の声もその例外ではない。
「これはこれは殿下、ご機嫌麗しゅうお過ごしで」
いけない、如何にも御怒りの形相の殿下には、少々嫌味に聞こえたかもしれないな、まぁ意図的に嫌味を含めてしまった自覚はあるが。
「貴様っ!兄上を拐かすのもいい加減にしろ…!」
「お言葉ですが殿下、私が陛下にご教授させて頂いているのは思想ではなく方法論です。それを生かすも殺すも、その選択をしているのは陛下です」
「フン、お前が言う事を効くよう兄上を仕向けているだけだろう!」
「…殿下、無礼を承知で進言致しますが…どうか新王陛下を信じてあげてはいただけませんか」
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