とどけ、リーディング! ~恋する小鳥のうた~1 ウソつきナギサ
あーあ。また、ウソついちゃった。
「ただいま、凪咲(なぎさ)! 遅くなっちゃった! 寂しくなかった?」
「うん、だいじょうぶ。おかえり、お母さん」
笑顔でそう言いながら、わたしはこっそり、心の中でため息を吐いた。
いっつもこう。わたしはわたしにウソをつく。ウソつきナギサ。わたしはわたしを、そう思う。
「ごめんねー! ごはんは何食べた?」
「ウーバーしちゃった。バーキン」
「そっかそっか。いいじゃん、美味しかった?」
「うん」
玄関に転がり込むなりバタバタと上着をぬいで、かばんを放り出すお母さんにわたしは笑った。
「先に手洗い!」
「ナギちゃんの言うとおり!」
けらけらと笑ってお母さんがサニタリールームに引っ込む。少しすると、お化粧も落として、部屋着に着替えたお母さんが顔を出す。
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