悪役令嬢に転生してしまったゲずるずると引きずられて王子の部屋に連れてこられて、豪華なソファーで俺がしょぼんとしながら作業をしていると、王子が隣に座った。
隣で機密文書に目を通して何やら判子を押していたけど、それ国のやつだよね?その判子ひとつで国が動くやつだよね!?いくら婚約者とはいえいいの?警戒心無さすぎない?そんなに気を許してる俺だって裏切るかもしんないのに……って
「あ、」
「?」
「この誓約書、やらしいなぁ……こっちにメリットあるような書き方してるけど、怪しくない?」
「どこだ?」
「ここ」
センクウ王子が俺に身を寄せてくる。自然と鼓動が高鳴るのを心の中でゆっくり沈めながら、俺は説明を続けた。
センクウ王子……いや、心の中ではセンクウちゃんと呼んでいるが、彼は俺の知ってる千空ちゃんよりももっとハードワーカーで、慢性的な寝不足に陥っていた。
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