闇オークションに出品されるゲントの話 テキスト版第一話
ダンダンッ
『6番のお客様!おめでとうございます!670万ゼーロで競り落とされました!』
ハンマーの音と共に会場に溜息と興奮、歓声が渦巻いた。6番の札を付けた男は満足げな笑みを浮かべて連れの男と握手を交わしている。
『お次は今回のオークションの目玉が登場です!一体どなたが手に入れられるのか…ご覧ください!』
ステージ裾でマイクを握る奇妙な仮面の男が声を張り上げる。暗い会場の奥、客たちが見つめる先。照明の落とされたステージの上で、ガシャンッという音と共に、スポットライトが商品を照らす。
そこに居たのは、1人の大柄な男だった。
頭部を覆う袋と大袈裟な首輪、奇妙な金属でできた複雑な拘束具。警備員に抑えられ、ステージに膝を付くその男を、客達が身を乗り出して眺める。
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