ミノタウロス×忍者なジョチェ『……敵性勇者の反応消失を確認しました。お疲れ様でした』
「ありがとう、カーラ」
商店街とその路地裏をモチーフにしたカラクリだらけのダンジョンで、一人の忍者が呟いた。つい先程まで目の前に居た勇者一行は、レベルは適正値だったもののデバフと毒を駆使した素早い忍者の攻め手に翻弄されるまま、一人、また一人と膝をつき、ゲームオーバーとなったところだった。
「カーラ、全てのカラクリをリセットしてくれ。それと、侵入者のアラートも再起動だ」
『OK、マスター。指示を実行します』
指示の受諾音声と同時に、ダンジョンが再構築され始めた。魔法で焦げた壁、斧が叩き割った窓ガラス、仕組みを見破られて解除されたカラクリなどが、仄かに点滅した後瞬く間に元の姿に戻っていく。夜が近付いてきた夕焼けの中で見る光は、いっそ神々しさすらも感じられる。
8201